アンバサダー座談会 Vol.3
kintone構築はAIでどう変わった?
アンバサダーの構築方法を聞いてみた
2026.09.29
kintoneの構築現場で、AIはどこまで使われている?
本記事では、生成AIを日々のkintone構築に取り入れているアンバサダー2名と、じぶんシリーズの事業責任者・松村が、AIによる構築の実際から、お客様データとの付き合い方、AI時代のプラグインの価値、「AIにレコメンドされる側」になるための工夫までを語り合いました。
話し手

脇野さん
合同会社リベラメンテ 代表社員。生成AIを開発フローに組み込んで日々kintone構築を行う。

琴絵さん
株式会社Hokkaido Design Code 代表取締役社長。kintoneとじぶんシリーズを組み合わせた業務システム構築のスペシャリスト。

松村
株式会社ソニックガーデン じぶんシリーズ事業責任者。

加賀美
インタビュアー。じぶんシリーズの公式キャラクターのひとり。
はじめに:この記事でいう「AI」について
2026年6月から、サイボウズ社の公式機能として「kintone AI」の提供が始まっています。この記事で語られているのは、その公式機能の話ではありません。ClaudeなどのAIに、kintoneのアプリそのものを設計・構築させるという使い方の話です。kintoneを日々構築している方々が、いま実際に何をどこまでAIに任せているのか。その現場の話として読んでいただければと思います。
「ドラッグアンドドロップは、もうしなくなりました」
みなさん、kintoneの構築にAIを使われているのでしょうか。
kintoneのローカルMCPサーバーを入れて、そこに構築を任せています。ただ、kintoneの標準機能を私が完全に覚えているわけではないので、そこはドキュメントMCPサーバーに「この認識で合っているか」と聞いて、仕様を確認してから構築を依頼する形ですね。「配置が気に入らない」と言えば、配置まで綺麗に整えてくれるんですよ、最近は。これは素敵だなと。
cybozu developer network
kintone Documentation MCPサーバー
AIが常に最新のkintone公式ドキュメントやAPI情報を取得できるツール。AIにkintoneのことを質問したときの回答の正確さが格段に上がる。
ではもう「画面でドラッグして並べる」というのはほとんどなくなりましたかね?
やらないです。ドラッグアンドドロップは、もうしなくなりましたね。最初の形は基本的に全部AIに作ってもらっています。
やらなくなっちゃいましたね。
お客様のデータが入ったkintoneに、AIをつないでいいか
ただ、お客様のところで「AIを使って全て構築して良いか」と言われたら、そこは契約上の取り決めなどをきちんとしてからと思っています。ですので今は新しいお客様への提案時に利用したり、新規の環境構築で管理権限をフルでいただいて、構築している間はAIを使い、お客様が「テストでデータを入れていきます」という段階に入ったら、そこからはもうAIはつなげていないです。
同じですね。私も、お客様のデータを扱う段階では、契約や利用条件、情報の取り扱いを確認したうえで、AIを使う範囲を分けるようにしています。
使えるようにしていきたいので、お客様の環境でテスト環境と本番環境をきちんと分けていただくとか、アクセス権を整えていただくとか、そういう整備をしていきたいと思っています。
AIで作れるものが増えて、kintoneプラグインのニーズが減っている?!
AIの普及によって、従来のプラグインの役割や求められ方に変化はありましたか?
そうですね。以前はkintoneの標準機能でできないことをプラグインで補うというのがkintoneの構築でしたが、単純な動きをする物であれば、AIでJavaScriptを作って適用しているという話も聞きますね。
では、メーカーが出すものの価値はどこにあるのでしょうか。
そこで思うのは、技術的な検証がされていることと、保守性が高いこと。それがメーカーの出しているものの良さだ、というのを改めて伝えていった方がいいなと思っています。手元でちょっと動かすJavaScriptなら、自分たちでAIに作ってもらってもいいと思うんです。でも、企業のシステムの中に入っていくものは別です。今動くものは誰でも作れるけど、将来もずっと動き続けるものを作れるのは、ある程度ちゃんと設計思想があるところじゃないと難しいのでは?という気持ちは、すごくあります。私は自分では作らないので特にそう思いますが、脇野さんは自分で作ったりしますよね?どうですか?
「戻ってくる」という希望的観測は、もうないかもしれない
Claudeを開発に活用していますね。ただ、悩ましいところもあります。保守性まで含めて考える方であれば、企業が提供するプラグインを導入する価値も感じてもらいやすいと思います。一方で、導入時点ではまず「今やりたいことができるか」が優先されて、将来の保守性までは評価軸に入りにくいこともあります。AIを活用して作ったものも、後から動かなくなったり、修正が必要になったタイミングで、初めて保守の重要性が見えてくるケースはあると思います。
だから、いま解約が進んでいても、いずれ保守性の問題が出てきて、企業が提供するプラグインに戻ってくるケースもあるのかな、と最初は考えていました。
同じようなことをおっしゃっている方もいました。いま一過性にわっと広がるけれど、やっぱりそれではだめだよね、となる時が来るんじゃないか、と。でも、それってすごく希望的観測ですよね。
そうなんですよ。ただ最近は、そこも少し見方が変わってきています。生成AI側でも、仕様や設計情報を整理して、後から修正しやすくするための仕組みが出てきていますよね。
これまでは、利用する側が保守性まで意識して設計しないと維持が難しかったものが、今後はAIや周辺のツールがそこを補ってくれる可能性もあると思っています。そうなると、「一度AIで作ってみたけれど、保守が大変だから既存のプラグインに戻ろう」という流れが、必ずしも起きるとは限らないのかなと。
それでも残るのは、どういうものでしょうか。
サーバーサイドの仕組みを継続的に維持する必要があるものは、引き続き製品として提供する価値が残りやすいのかなと思っています。たとえば自動採番でも、単純に画面上で番号を付けるだけならフロントエンドでもできますが、複数のユーザーが同時に登録しても番号が重複しないようにしたり、複数のアプリをまたいで一意の番号を管理したりしようとすると、サーバーサイドで状態を持って管理した方が確実です。
あとは、大量データを扱う処理のように、フロントエンドだけでは負荷や処理時間の面で難しいものもあります。そうした裏側の仕組みまで含めて安定して提供できることが、今後は製品側の価値になっていくのかもしれません。
次は「AIにレコメンドされる側」になる
お客様への提案やデモづくりでは、AIをどのように使っていますか?
今は、お客様の要件をうかがいながら、Claudeにも相談して業務要件を整理して、MCPサーバー経由でkintoneのデモアプリを作ることが多いです。まず形にして動かしてみると、「ここが足りないね」というのが見えてくるので、また整理してClaude Codeに伝えて、少しずつ作っていく感じですね。自分ひとりで全部を把握して進めるのはなかなか大変なので、かなり助けてもらっています。
そうやって進めていると、「この機能が欲しい」となったときに、AIから「こういうプラグインがありますよ」と教えてもらえたら、すごく助かると思うんです。メーカーさんが提供している機能を全部頭に入れておくのは、正直かなり難しいです。動画やマニュアルも丁寧に整備されていますが、それを全部覚えておくことはできないので。
では、どうすれば「AIにレコメンドされる側」になれるのでしょうか。
そこは自分もまだ考えているところなんですが、どんな場面で、どう使われているのかがドキュメントとして整理されていると、AIにも拾ってもらいやすいのかなと思っています。たとえば「この機能は、この業務のこの部分で使える」ということが文章で分かるようになっていれば、AIと一緒に要件を整理している中で、「ここに使えるかもしれません」と提案してくれる可能性もありそうです。MCPサーバーやドキュメントMCPのような形も、その一つなのかなと思います。
AIから呼び込ませるMCPサーバーをインストールしてもらうか、スキルをインストールしてもらうか。そうすれば、AIがじぶんシリーズの製品にものすごく詳しい状態を作れるんじゃないかと思います。その仕組みを作ると面白そうですね。
そうですね。それだけでもかなり助かると思います。MCPサーバーまで用意しなくても、ヘルプページの情報をAIがきちんと参照できるようになれば、それでも十分可能性はあると思います。
AIに聞けば探して出してくれる、という形になると助かりますね。それに、デモ環境にはいろいろ入れておきたいのですが、デモのシナリオを考えるのが結構大変なんです。一つひとつ全部考えなければいけない。そこをAIが作ってくれて、「ここにこれを差し込むといいですよ」とレコメンドしてくれると助かります。お客様との会話の中で「そういえば、こういうものがありますよ」とお見せできるものがあると、営業のツールの一つにもなるんですよね。
実はこの座談会のあと、お話に出た「AIがじぶんシリーズを探して提案してくれる」仕組みを、スキルとして作って公開しました!Claude CodeなどのAIに入れておくと、じぶんシリーズの製品の選び方やkintoneアプリの設計、「標準機能でできないこと」に合うプラグインまで、AIが提案してくれるようになります。
GitHub(無料・オープンソース)
じぶんシリーズ公式スキル(JibunApps/skills)
npx skills add JibunApps/skills の1行でインストールできます。Claude Code・Codex CLI・Cursor などに対応。
でも、みんながAIを使っているわけではない
こんなに盛り上がっていますが、生成AIを使っている人は、実はそんなに多くないかもとも思うんですよね。自分が話をしている界隈の人たちはほぼ全員使っているので、国民の9割くらいは使っているんじゃないかという錯覚に陥るけれど、実際に市場を見たら一部にも満たない。
「個人情報を渡して大丈夫ですか」ということも、まだ言われますね。
そうなんですよ。AIを積極的に使っている側にいると、つい「みんなもう普通に使っている」と思ってしまうんですが、実際には企業ごとに利用ルールや情報の取り扱いも違いますし、慎重になるのは当然だと思っています。自分の周りだけを見て判断しないようにしないといけないな、とはすごく思いますね。世の中全体では、まだそこまで一気に進んでいるわけではないぞ、と。
先日お会いした100人規模の会社の方が、kintoneは全員が使えるようにしてあるが、AIはご本人しか使っていないとおっしゃっていました。大きい企業の中では、誰でも使えるようにはしていない、と。
分からなくはないですね。個人で使う場合は、自分で利用する環境や範囲を判断しやすいですが、会社ではそうはいきません。扱う情報や利用するサービス、社内ルール、契約上の条件などを確認したうえで使う必要があります。そう考えると、企業では「使いたいからすぐ使う」というより、まず安心して使える環境を整えるところから、というケースの方が多いと思います。
おわりに
AIの進化によってkintone構築の手法やスピードは劇的に変化し、アプリの初期構築やドラッグ&ドロップの手間は大幅に削減されつつあります。しかし、すべてをAIに任せれば解決するわけではありません。コードの保守性やサーバーサイド処理の必要性、さらにはセキュリティや企業内での利用制限といった「現実的な課題や壁」を見極め、適切に使い分けることが求められます。
また、今後は開発者自身がAIを活用するだけでなく、AIに正しく仕様やツールを参照してもらうためのドキュメント整備やMCPサーバーの提供など、受け手側の工夫も重要になっていきそうですね。AIと人間、それぞれの強みをバランスよく組み合わせながら、より価値の高い業務改善へ向けて一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
実は私たちも、kintoneのプラグインサービス「じぶん kintone プラグイン」をリリースしています。ユーザー数無制限・定額制で、40種類以上のプラグインをまとめて使えるサービスです。今回のお話にあった「長く安心して使い続けられること」を大切に開発していますので、ぜひのぞいてみてください!
じぶんシリーズ
じぶん kintone プラグイン
「kintoneのここ、あと少しだけこうなればいいのに」と思うことはありませんか?「じぶんたちだけの課題なの?」というようなピンポイントな要望に応える、ニッチなプラグインをラインナップしています。
この座談会に参加したアンバサダー

